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  • 家づくり学
2026/08/05

パッシブデザインとは?光熱費が年5万円変わる家の設計

こんにちは!平松建築株式会社です。

「設備にお金をかけずに、光熱費を抑えて快適に暮らしたい」。家づくりの相談で最も多いご要望のひとつです。

太陽光や蓄電池を足していけば快適にはなりますが、初期費用は確実に上がります。

実は、設備を増やさなくても光熱費を大きく下げる方法があります。それがパッシブデザインです。

太陽の光と熱、風、地面の温度といった身のまわりの自然エネルギーを、設計の工夫だけで味方につける考え方。同じ予算でも、窓の付け方ひとつで快適性と光熱費が変わります。

【この記事で分かること】

・パッシブデザインを構成する5つの設計手法

・浜松の実データで見る、光熱費が年間いくら変わるのか

・パッシブデザインが得意な住宅会社を見分ける方法

結論

パッシブデザインとは、断熱・日射遮蔽・日射熱利用暖房・自然風利用・昼光利用の5要素で自然エネルギーを使い切る設計手法。設備を増やさずに光熱費を下げられる一方、設計の難易度が高く、対応できる会社は限られます。

【動画で確認したい人はこちら】

パッシブデザインとは?自然エネルギーを使う5つの手法

パッシブデザインは、自然エネルギーを有効利用する設計手法の総称です。特別な設備を導入するのではなく、家の形・窓の位置・軒の長さといった設計そのもので性能をつくります。

構成する要素は次の5つです。

断熱

すべての土台になる要素です。夏は外の熱を入れず、冬は暖めた空気を逃がさない。

この前提が崩れると、日射を遮っても風を通しても効果が薄れてしまいます。

断熱性能を表す指標が平均外皮熱貫流率、いわゆるUA値です。壁・窓・屋根といった外側の部位すべてを合算して平均化し、1平方メートルあたりどれだけ熱が逃げるかを示した数値。

小さいほど熱が逃げにくく、高性能ということになります。

日射遮蔽

夏の暑さの正体は、窓から入る日射熱です。太陽が高い位置にある夏は、軒を十分に出しておけば南面の窓でも直射を室内に入れずに済みます。

逆に軒がない、あるいは浅い家は、床に直接日が当たって室温が上がります。断熱性能が高い家ほど、いったん入った熱は抜けにくくなるため、遮蔽の設計が効いてきます。

日射熱利用暖房

冬は反対に、日射を積極的に取り込みます。窓から入った日射が熱に変わり、家の中を暖めてくれる仕組みです。

冬の日照量が多い地域ほど、南面の窓を大きく取るほうが有利になります。浜松・磐田・袋井・掛川のように冬でも晴天が多い地域は、この恩恵を受けやすい立地といえます。

ここで難しいのが、夏と冬で求めるものが正反対になる点です。冬の日射を最大限に取り込みたいなら軒は短いほうがよく、夏の日射を遮りたいなら軒は長いほうがよい。

片方だけを見て決めると、必ずもう一方で後悔します。両方を天秤にかけて軒の長さを決めるのが設計者の仕事です。

自然風利用

風の力で室内の空気を入れ替える設計です。地域ごとに、季節と時間帯によってどの方向からどの程度の風が吹くかを示したデータがあります。

それをもとに、風の入り口と抜け道、通り抜ける量を計算します。

風が抜けない場所は空気が動かず、湿気がこもってカビの原因になることも。特に玄関まわりは扉を閉めていると空気が停滞しやすいため、換気の取り方や壁の構成まで含めて考える必要があります。

昼光利用

日中の自然光を室内に取り込む設計です。日中でも日が入らない家は、どうしても暗く沈んだ雰囲気になります。

新築なのに気分が晴れないという声の背景に、光の入らなさがあることも少なくありません。

各部屋にきちんと日が届く計画になっているか、図面の段階で確認しておきたいところです。

光熱費はどれくらい変わるのか

パッシブデザインのメリットは、光熱費の削減と快適性の2つです。では光熱費は実際にどれだけ変わるのでしょうか。

浜松の実データで見てみます。

4人家族の月間平均電気使用量は472キロワットアワー。これに対して、パッシブデザインの手法で建てた家の月間平均は364キロワットアワーでした。

差は月あたり105キロワットアワーです。

電力単価を1キロワットアワー40円と仮定すると、月あたり約4,200円。年間に換算すると約5万円の差になります。

住宅ローンを35年で組むとして計算すれば、約177万円。さらに、家はローンを返し終えたあとも住み続けるものです。

70年で考えると約350万円の差になります。

同じ予算で建てた家でも、窓の付け方が違うだけでこれだけの差が生まれます。設備を足して埋めようとすれば、その初期費用がまた乗ってくることになります。

快適性の面でも違いが出ます。エアコンで強く冷やすのではなく、家全体をゆるやかに涼しく、あるいは暖かく保てるため、風が直接当たる不快感が少なくなります。

数字には表れにくい部分ですが、暮らしてみると差を感じやすいところです。

日当たりシミュレーションで確認すべき2つの日付

パッシブデザインの設計では、日当たりシミュレーションを使います。設計ソフト上に建物を再現し、季節や時刻ごとに日がどう当たるかを可視化するものです。

見るべき日付は2つあります。ひとつは1月20日ごろ、冬で最も寒い時期。

もうひとつは8月末ごろ、夏の日射がまだ強い時期です。冬に日がしっかり室内まで入り、夏には床に日が当たらない。

この両方を満たす軒の長さを探します。

もうひとつ分かるのが、建物の形と周辺環境の影響です。南面が入り組んだ形の建物は、自分の壁が自分の窓に影を落とします。

南面がまっすぐなら影になりにくく、日射を取り込みやすい。周囲に建物が近い敷地では、朝は日が入っても10時ごろから影に入ってしまうこともあります。

つまり、同じ図面でも敷地条件が変われば正解は変わります。将来どんな建物が周りに建ちうるかまで予測して配置を決めることが、パッシブデザインでは非常に重要になります。

エアコンの位置は夏と冬で使い分ける

自然エネルギーを使い切った上で、足りない分をエアコンで補います。このときエアコンの設置位置も設計対象になります。

夏は高い位置に置くのが有利です。冷やされた空気は収縮して重くなり、下へ降りたがるためです。

小屋裏に1台置けば、吹き抜けを通って冷気が家全体に降りていきます。

冬は逆に低い位置が有利です。暖められた空気は膨張して軽くなり、上へ上がっていくためです。

上下に1台ずつ設置し、季節で使い分ける。同時に動かすわけではないので、光熱費が2倍になることはありません。

あわせて確認したいのが換気方式です。どこから空気を取り入れ、どこから出すか。

この設計次第で、暖めた空気や冷やした空気をどれだけ捨てることになるかが変わります。厳密には5要素とは別の話ですが、少ない光熱費で快適な温熱環境をつくるという目的は同じです。

パッシブデザインのデメリット

良いことばかりではありません。デメリットは2つあります。

ひとつは、設計の難易度が高いこと。シミュレーションを回し、敷地条件と周辺環境を読み、夏と冬のバランスを取る。

この作業ができる設計者は限られています。

もうひとつは、初期コストが上がる可能性があること。設計が複雑になれば、その分の手間と作り込みが費用に反映されます。

規格化された住宅と比べれば、金額は上がる方向に働きます。

ただし、注文住宅はもともとこだわって設計するもの。同じように設計するなら、パッシブデザインを知っている設計者かどうかで窓の付け方が変わる、という差だと考えるとイメージしやすいかもしれません。

上がった初期費用を、その後の光熱費でどこまで回収できるかという視点で判断するのが現実的です。

パッシブデザインが得意な会社の見極め方

設計できる会社が限られる以上、会社選びが結果を左右します。とはいえ技術的な説明を聞いても、専門用語が多くて判断しづらいのが正直なところでしょう。

おすすめは次の2つです。

ひとつは、夏の暑い時期と冬の寒い時期に、実際の建物を体感させてもらうこと。そのときエアコンをどれだけ使っているかも合わせて確認します。

快適さと使用状況の両方を見れば、本当に得意なのかどうかは体感で分かります。

もうひとつは、日当たりシミュレーションを見せてもらうこと。対応している会社と、していない会社があります。

冬に日が室内まで届いているか、夏に日射が遮られているか。この2点が確認できれば十分です。

まとめ

パッシブデザインを構成する5つの要素は次のとおりです。

・断熱 ・日射遮蔽 ・日射熱利用暖房 ・自然風利用 ・昼光利用

浜松の実データでは、パッシブデザインの手法で建てた家との光熱費の差は年間約5万円。35年で約177万円、70年では約350万円になります。

設備を足すのではなく、窓の位置と軒の長さで生まれる差です。

自然のエネルギーを先に使い切り、足りない分をエアコンや太陽光といった設備で補う。この順番で考えると、少ない費用で快適さと省エネを両立できます。

これから家を建てる方は、間取りを明るさや広さだけで決めず、夏と冬の日射までセットで検討してみてください。

パッシブデザインを取り入れた家づくりについて相談したい方、実際の建物を体感してみたい方は、ぜひ公式LINEからお気軽にご相談ください。

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よくある質問

Q. パッシブデザインとは何ですか?

太陽の光と熱、風といった自然エネルギーを、設計の工夫で有効利用する手法です。断熱・日射遮蔽・日射熱利用暖房・自然風利用・昼光利用の5要素で構成されます。

設備を追加せず、窓の位置や軒の長さといった設計そのもので光熱費と快適性を高めるという考え方です。

Q. パッシブデザインにすると光熱費はどれくらい下がりますか?

浜松の実データでは、4人家族の月間平均電気使用量472キロワットアワーに対し、パッシブデザインの住宅は364キロワットアワーでした。1キロワットアワー40円で換算すると年間約5万円の差になり、35年で約177万円、70年で約350万円です。

ただし敷地条件や断熱性能によって差は変わります。

Q. 軒は長くしたほうがよいのですか?

夏だけを見れば長いほうが有利ですが、冬の日射取得が減るため一概にはいえません。夏は日射を遮り、冬は室内まで日が届く長さを探すのが設計の要点です。

日当たりシミュレーションで1月20日ごろと8月末ごろの2時点を確認し、両方を満たす寸法を決めます。

Q. パッシブデザインは初期費用が高くなりますか?

設計が複雑になるため、規格化された住宅と比べると上がる方向に働きます。ただし注文住宅はもともと個別に設計するもので、パッシブデザインを知っている設計者かどうかで窓の付け方が変わるという差でもあります。

上がった初期費用をその後の光熱費でどこまで回収できるかで判断するのが現実的です。

Q. パッシブデザインが得意な会社はどう見分けますか?

夏の暑い時期と冬の寒い時期に実際の建物を体感させてもらい、そのときのエアコンの使用状況を確認するのが確実です。あわせて日当たりシミュレーションを見せてもらい、冬に日が室内まで届いているか、夏に日射が遮られているかを確認しましょう。

シミュレーションに対応していない会社もあります。


監修:平松明展(職人社長/平松建築 代表)|浜松市・磐田市・袋井市・掛川市・東京都・関東一部で、耐震等級3・断熱等級7・高気密・WB工法の家づくり。

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