注文住宅の断熱材はどう選ぶ?注意したい5つとおすすめ3つ
こんにちは!平松建築株式会社です。
断熱材は、夏の暑さや冬の寒さだけでなく、家の耐久性そのものを左右する部材です。選び方や組み合わせを間違えると、壁の中で結露が起き、気づかないうちに家が傷んでいきます。
ところが断熱材は、住宅会社の担当者でも「なぜその断熱材を使っているのか」を明確に説明できないことがあります。この記事では、選ぶときに条件を確認したい断熱材5つと、これから選ぶなら候補になる3つを、湿気と耐久性の観点から整理しました。
【この記事で分かること】
・断熱材選びで結露と耐久性が重要になる理由
・選ぶときに条件を確認したい断熱材5つとその理由
・これから選ぶなら候補になる断熱材3つと注意点
結論
断熱材の良し悪しは、断熱性能の数字だけでは決まりません。判断の軸は「湿気をどう扱うか」です。
湿気を通しやすい素材ほど、防湿層の設計と施工精度が前提条件になります。候補として挙げられるのは、湿気を止めるフェノールフォーム、調湿しながら断熱するセルロースファイバー、環境負荷が小さいウッドファイバーの3つです。
【動画で確認したい人はこちら】
断熱材選びで本当に見るべきは「湿気」
断熱材のカタログには、熱の伝わりにくさを示す数字が載っています。しかし同じ数字の断熱材でも、実際に熱が伝わる速さには差が出ます。
同じ条件で複数の断熱材を並べて比べた実験でも、数字が近い素材同士で結果が分かれました。
もうひとつ、数字に表れない要素があります。湿気です。
壁の中に湿気が入り込み、温度差のある場所で水に変わる現象を内部結露と呼びます。壁の中は目視できないため、気づいたときには柱や土台が傷んでいる、ということが起こります。
内部結露は珍しい現象ではありません。冬に室内の湿気が壁の中へ入る冬型結露に加え、近年は夏に外の湿気が壁の中へ入る夏型結露も問題になっています。
断熱性能を高めるほど壁の中の温度差は大きくなるため、断熱と防湿はセットで考える必要があります。
選ぶときに条件を確認したい断熱材5つ
ここからは、採用する際に防湿設計と施工精度の確認が欠かせない断熱材を5つ挙げます。いずれも「使ってはいけない材料」ではなく、条件を満たさないとリスクが大きくなる材料という意味です。
### 1. グラスウール
ガラス繊維でできた、もっとも普及している断熱材です。材料費が安く、住宅会社が採用しやすい断熱材でもあります。
一方で、素材自体は水を吸わないため、湿気は繊維の隙間を通り抜けます。木や紙のように湿気を吸って吐く働きがないため、湿度が上がると結露しやすく、断熱性能も落ちます。
隙間なく施工するのが難しく、施工が甘いとさらに性能が下がります。水に濡れた場合は張り替えが必要になる点も、押さえておきたいところです。
### 2. ロックウール
石などを原料にした繊維系の断熱材です。湿気に対する性質はグラスウールに近く、防湿層の設計と結露計算が前提になります。
ただし比重が重いぶん防音性が高く、使いどころのある材料でもあります。平松建築でも、トイレまわりや寝室と寝室の間など、音を抑えたい場所には採用します。
注意したいのは外周部です。温度差と湿度差が大きい外壁側では、調湿性のない繊維系はリスクが上がります。
### 3. 吹き付けウレタンフォーム
現場で吹き付けて膨らませる断熱材です。隙間なく密着するため施工精度を出しやすく、気密性と断熱性の初期数値が出しやすい点が採用理由になっています。
ただし湿気は通します。年数の経過とともに断熱性能が下がる可能性があり、躯体に密着しているため地震などで力がかかると割れることもあります。
同じ条件での比較実験でも、熱の伝わりは早いほうでした。数値上は良く見えても、長期の快適性まで担保されるとは限りません。
### 4. 板状のウレタンフォーム
同じウレタン系の、板状に加工された断熱材です。工場生産のため品質が安定しており、あらかじめ寸法に加工して納入できるため、施工ミスが起きにくいという利点があります。
一方で、経年で断熱性能が低下するリスクや、柔らかく潰れやすい点は吹き付けと共通です。初期の断熱性能は優れていても、その後どの程度低下するかは公表されていないことが多く、長期の見通しが立てにくい材料といえます。
### 5. 羊毛断熱材
羊の毛を原料にした繊維系の断熱材です。自然素材にこだわる住宅会社で提案されることがあります。
湿気を通しやすい点は他の繊維系と同じで、調湿の効果もセルロースファイバーやウッドファイバーほどではありません。製品によっては洗浄の程度で匂いが気になる場合もあります。
価格も安い部類ではないため、他の素材で代替できるなら、あえて選ぶ理由は多くありません。
これから選ぶなら候補になる断熱材3つ
ここからは、湿気の扱いまで含めて評価したときに候補になる3つです。順位は、性能と入手性・コストを合わせた総合の判断によるものです。
### 第1位:フェノールフォーム
熱に強く、バーナーで炙っても表面が焦げるだけで自然に消える性質を持つ断熱材です。軽いため、天井に施工しても建物への負担が小さく済みます。
最大の特徴は、湿気を通しにくいことです。湿気が断熱材の手前で止まるため、壁の中で温度が下がる位置まで水蒸気が届かず、内部結露が起きにくくなります。
長期の性能についても20年以上の試験データが公開されており、見通しが立てやすい材料です。
注意点はコストです。材料費が高く、施工にも手間がかかります。
また湿気を通しにくい性質上、両側を湿気の通りにくい材料で挟むと、万一入った水分が乾きにくくなります。使い方を誤ると、かえってリスクが上がる点は理解しておく必要があります。
### 第2位:セルロースファイバー
新聞紙を綿状に加工した断熱材です。繊維系ではありますが、紙が湿気を吸って吐くため、調湿しながら断熱するという点でグラスウールやロックウールとは性質が異なります。
同じ条件で水に浮かべる実験では、グラスウールやロックウールがすぐ沈んだのに対し、セルロースファイバーは浮いたままでした。熱の伝わりも遅く、断熱材としての性能は高い部類です。
防音効果も高く、新聞紙の再利用のため環境負荷も小さく抑えられます。
注意点は重さと施工方法です。吹き込みで充填するため、経年で沈下する可能性があり、施工の丁寧さが問われます。
また十分な厚みが必要で、屋根に施工すると重量が大きくなります。壁はセルロースファイバー、天井は軽い断熱材、という使い分けが現実的です。
### 第3位:ウッドファイバー
木を繊維状に加工した断熱材です。同じ条件での比較実験では、熱の伝わりがもっとも少ないという結果でした。
調湿性と蓄熱性が高く、ゆっくり熱を蓄えてゆっくり放出するため、室内の温度変化と湿度変化がおだやかになります。比重が重いぶん防音性も高く、壁の中の結露リスクも抑えやすい材料です。
土に還る素材のため環境負荷も小さく、ドイツでは断熱材の主流になっています。
課題は入手性です。国内での生産がほとんどなく、輸入に頼る必要があるため、コストが上がります。
また木質系のため燃える点は事実で、防火の納まりを別途検討する必要があります。総合的な使いやすさを考えて3位としています。
断熱材は「単体」では正解が出ない
ここまで8つの断熱材を見てきましたが、どれか1つが万能というわけではありません。同じ材料でも、使う場所と防湿層の設計、施工精度によって結果が変わります。
たとえば、湿気を通しやすい材料を外周部に使うなら、防湿シートと結露計算が前提になります。逆に湿気を止める材料を使うなら、万一入った水分が抜けるルートを確保しておく必要があります。
断熱材の性能だけを取り出して比較しても、答えは出ません。
また、性能の高い断熱材ほどコストも上がります。家づくり全体の予算のなかで成り立つかどうかも、判断の材料です。
「なぜこの断熱材を使うのか」を説明できる住宅会社かどうかを、確認しておくとよいでしょう。
まとめ
断熱材を選ぶときのポイントは、次のとおりです。
・カタログの数字だけでなく、湿気をどう扱う材料かで見る ・繊維系(グラスウール・ロックウール・羊毛)は防湿設計と施工精度が前提になる ・ウレタン系は初期性能が出しやすい一方、経年の性能低下が読みにくい ・フェノールフォームは結露に強く軽いが、コストと使い方に注意が必要 ・セルロースファイバーは調湿しながら断熱できるが、重さと沈下に注意する ・ウッドファイバーは性能が高いものの、国内での入手性が課題になる ・使う場所と防湿層の設計込みで判断する
断熱材は「なんでもいい」部材ではありません。夏の暑さや冬の寒さだけでなく、30年後の家の状態まで左右します。
数字の比較で終わらせず、なぜその断熱材なのかという理由まで確認して選んでいただければと思います。
断熱材の選び方や結露対策について相談したい方は、ぜひ公式LINEからお気軽にご相談ください。

よくある質問
Q. 断熱材は性能の数字が高いものを選べばよいですか?
数字だけでは判断できません。同じ数値の断熱材でも、実際の熱の伝わり方には差が出ます。
さらに重要なのが湿気の扱いで、湿気を通しやすい材料は壁の中で結露が起きるリスクがあります。断熱性能の数字と、防湿層の設計・施工精度をセットで確認してください。
Q. グラスウールは使わないほうがよいのでしょうか?
使ってはいけない材料ではありません。材料費が安く、広く普及している断熱材です。
ただし湿気を通しやすく、隙間なく施工するのが難しいため、防湿層の設計と結露計算、施工精度が前提条件になります。その条件が満たされているかを確認したうえで判断するとよいでしょう。
Q. 内部結露とは何ですか?
壁の中に湿気がたまり、温度差のある場所で水に変わる現象です。柱や土台が傷む原因になりますが、壁の中は目視できないため気づきにくいのが問題です。
冬に室内の湿気が入る冬型結露に加え、近年は夏に外の湿気が入る夏型結露も増えています。
Q. 断熱材は家の場所ごとに変えたほうがよいですか?
場所によって適した材料は変わります。たとえば重量のあるセルロースファイバーは壁に向いており、天井には軽い断熱材のほうが構造への負担が小さく済みます。
音を抑えたい部屋の間仕切りには、比重の重い繊維系が有効です。一律に決めず、使う場所ごとに考えることをおすすめします。
監修:平松明展(職人社長/平松建築 代表)|浜松市・磐田市・袋井市・掛川市・東京都・関東一部で、耐震等級3・断熱等級7・高気密・WB工法の家づくり。
LINE追加して限定特典を受け取る